こんにちは!東京下町・都電沿線で自由塾町屋教室とブラボーボックスを運営しているブラボー先生®こと、教室長のヨシモトです!
本日は、夏期講習で連日熱い授業を行っているヨシザワ教務主任から、国語の授業に関するコラムを寄稿してもらいました!前後編みたいです!どうぞ!
読解問題は「部分読み」か「全文読み」か?──「タイパ」の罠と、本当に伸びる子の習慣
「先生、国語って文章を全部読まないとダメですか?」
ある日の授業後、一人の生徒からこんな質問を受けました。毎年のように受けるおなじみの質問ではあるのですが、今回ばかりは、続く言葉に思わず耳を疑ってしまいました。
「学校の先生に、『傍線の前後だけ読んで、あとは読まなくていい』って言われたんです」
言葉を失いました。
時短、タイパ(タイムパフォーマンス)、効率化……そんな言葉がもてはやされる現代ですが、まさか教育の現場で、子どもの伸び代を自ら摘み取ってしまうような「付け焼き刃の指導」がまかり通っているとは。
もちろん、私はその生徒に「全部読むんだよ」と伝えました。しかし、ただ「全部読みなさい」と精神論を語るだけでは、子どもたちも納得しきれないでしょう。
そこで「傍線前後読み」で得点できるか実験をしてみました。
直近2年間分の都立高校の入試問題(令和5年度・令和6年度)を使い、AIを使って「シミュレーション」を行ったのです。
【検証】「傍線の前後だけ読む」と、何点取れるのか?
実験のルールは極めてシンプルです。
「傍線の前後1〜2行に、明確な解答や解答の根拠が書かれている場合のみ得点できる」とし、部分読みだけで合格点が取れるのかを検証しました。
その結果が、こちらです。
〜衝撃の事実〜
漢字でどれだけ満点(20点)を死守したとしても、読解パート(計80点分)で取れる点数はどちらの年度もたったの「5点」です。全体で「25点」しか取れず、志望校合格は100%不可能です。一見効率的に見える解き方が、実は最も致命的な結果を招いています。
添付をごらんください。
いかがでしょうか。なかなかに衝撃的な数字ですよね。
読解パートで得点できたのは、両年あわせて大問4の「たったの1問」だけ。小説の複雑な心理描写も、複数の資料を比較する融合問題も、傍線の前後を眺めるだけでは1点もくれません。もちろん、全体を読まなければ200字の作文(10点分)など書けるはずもありません。
つまり、現在の入試において「部分読み」のメリットは、ただの一つも見当たらないのです。
「急がば回れ」が、結局いちばん速い。
国語という科目は、一朝一夕には成果が見えにくいものです。だからこそ、手っ取り早く点数が取れそうな「テクニック」に頼りたくなる気持ちはよく分かります。
しかし、いつも傍線の周りだけをうろうろして「部分読み」で済ませてきた子と、毎回泥臭くても「全文」をきっちり読んできた子。
この両者の間には、受験を迎える頃には脳に蓄積された「語彙量」と「読解の体力」において、取り返しのつかないほどの巨大な差が生まれています。
文章を頭から最後まで読み通す。
筆者の主張のうねりを追いかけ、登場人物の心の揺れ動きに寄り添う。
この一見遠回りに思えるプロセスこそが、記述力や思考力といった、これからの時代に本当に必要とされる「本物の知性」を育みます。
目先の「タイパ」に惑わされて、大切な我が子の伸び代を縮めてしまってはもったいない。
「急がば回れ」
国語の学習において、これほど核心を突いた言葉はありません。今日も教室で、子どもたちと一緒にじっくりと、一枚の原稿用紙、一つの物語に向き合っていきたいと思います。
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